vol.78 熱中症から身を守る
2024年の夏は、高温多雨で残暑も厳しいことが予想されています。
今年の夏前半は、春まで続いたエルニーニョ現象の名残の影響を受け、太平洋高気圧の勢力が強まりにくく、梅雨前線の北上が遅れやすい見通しでしたが、梅雨明けは平年並みのところが多いでしょう。関東甲信では平年より遅くなる見込みです。今年の6月は、全国的に梅雨入りが遅く、上旬から中旬は晴れて厳しい暑さとなりました。また、梅雨が明けても安定した夏空が続きにくく、全国的に雨や雷雨が多くなる可能性があります。
8月はラニーニャ現象への移行に伴い、太平洋高気圧の勢力が北へと拡大する見通し。地球温暖化や春まで続いたエルニーニョ現象の影響で地球の大気全体の気温がかなり高くなっていることから、太平洋高気圧が強まれば、今年の夏は、ここ10年の暑さを上回り世界的に暑くなった昨年の夏に匹敵する猛暑になる可能性があります。(日本気象協会2024年7月11日発表)
また、この暑さが原因で多くの人が熱中症に苦しむことが危惧されています。特にお年寄りは暑さを感じにくく、体力も低下しているため、熱中症の危険性が高まります。これぐらいなら大丈夫という気持ちで屋外で草むしりをしたり、屋内でもクーラーを使用せずに過ごしたりするのは危険です。昨年の5月から9月の間に熱中症で救急搬送された方の人数は91,467人、そのうちの半数以上54.9%が高齢者でした。最も熱中症が発生している場所は意外にも住居(敷地内を含む)となっており39.9%でした。熱中症を予防し、安全に過ごすための注意点をご紹介します。
1.熱中症の症状とは?
熱中症は体温調節機能がうまく作動せず、体内の水分や塩分が失われた状態で起こります。症状には次のようなものがあります。
2.お年寄りの熱中症予防はどうするか?
4.熱中症が疑われる方に遭遇してしまった!
まずは涼しい場所に避難させ、救急車を呼びます。一人で難しい場合は、近くの人に助けを求めてください。
保冷剤や氷などがあれば、首の横、脇の下、大腿の付け根、足首などを冷やします。重症の場合は、冷たい水をかけ続ける「水道散布法」や全身を氷水に浸ける「氷水浴/冷水浴法」などがあります。重症者を救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げるかにかかっています。救急車が到着するまでの間、体を冷やしましょう。
5.まとめ
この暑い季節、熱中症に対する予防策をしっかりと心がけることがお年寄りの健康を守るために不可欠です。また、水分と塩分だけ摂取すれば安全ということでもありません。日常生活の中で普段からバランスの取れた食生活を送る事や十分な睡眠を取り、丈夫な体づくりを意識する事が大切です。周囲の方々とも熱中症について話をする事で緊急時に迅速な対応ができ、安全かつ快適な夏を過ごす準備ができるはずです。