vol.74 健康食品との付き合い方
2024年3月22日付で小林製薬から「紅麹関連商品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」の発表がありました。今回のサプリ問題の経緯については、最初に医師からサプリと健康被害との関係性について疑う連絡があったのが2024年1月15日。→医師からの報告が相次いだのが2月初旬。→社長が商品の回収を覚悟したのが2月6日。→2月中旬にはシトリニンが含まれていない事を確認。→3月16日「意図しない物質」を検出。→3月22日に自主回収を発表(1回目の記者会見)。→3月下旬紅麹原料供給先の自主回収が相次ぐ。サプリ利用者の死亡、入院例などが相次ぎ判明。→3月29日原因が「プベルル酸」の可能性があると公表(2回目の記者会見)。今回の件で、サプリメントや紅麹に対して不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。私の周囲でも「もうサプリメントは飲まない」「赤色の着色料は体に有害なのではないか?」等の声が聞かれましたので、紅麹とは何なのか?サプリメントは飲むべきなのか飲まないべきなのか?現時点で明らかになっている情報から考えていきたいと思います。
1.紅麹とは?
「紅麹」は、もともと紹興酒や沖縄の「豆腐よう」などに含まれる麹菌で、昔から食べられているものです。本来、紅麹にはプベルル酸は含まれておらず、小林製薬以外にも「紅麹」を製造している会社もあり、すべての「紅麹」が危険というわけではないようです。また、原材料の/スラッシュより後に添加物として記載されている「ベニコウジ色素(食品添加物)」と小林製薬の紅麹原料は全く別の物で、製造方法も全く異なるそうです。小林製薬の紅麹原料は食品なので原材料のラッシュより前に食品として表示されており、表示は「米紅麹(米胚芽、紅麹菌)、紅麹」など。気になる方は原材料の表示を気をつけて見てみると良いかもしれません。
2.健康食品とは?
健康食品とは、あくまでも食品であり、健康増進や病気を予防・改善する効果は認められていません。ですので、健康食品を薬の代わりのように服用する事はお勧めできません。
3.私たちは、どうやって健康食品を選ぶべきなのか?
今回のようなケースでは、私達消費者にとっては不可抗力で防ぎようのないものであり、小林製薬の自主回収の遅さが論点になっていました。今やどこでも気軽に購入する事のできる健康食品。「体に良さそうだから」と購入する方も少なくないと思います。私たち消費者は、飲むのか、飲まないのか、飲むとしたら何を選ぶべきなのかを盲目的にならずに考えるというステージに立たされているのかもしれません。「本当に今の自分の体に健康食品は必要なのか?」「食事で補う事はできないのか?」と一度立ち止まって考えてみてください。たとえ、普通の食事であったとして、どんなに体に良い成分であっても、摂り過ぎれば体に害を及ぼします。有名なところでは、カフェインの取り過ぎによる中毒死や水の飲み過ぎによる中毒死。大豆製品が女性のホルモンバランスに影響を与えたり、キャベツやニンニクにがん予防効果があったり。私たちが普通に口にしている一般食品ですら、私たちの体に毎日様々な影響を与えています。栄養成分が凝縮された健康食品は、より私たちの体に影響を与えやすいと言えるでしょう。また、そのような体に良いと謳われた健康食品を摂り続けて体の調子が良くなったとして、その健康食品のおかげで健康が増進されたと断言する事はできません。そもそも摂取しなくても健康になっていた可能性だってあるのです。また、どうしても健康食品を摂取する際には、ご自身でエビデンスを調べたり、薬疹などが出ていないかご自分の体の変化をよく観察し、用法用量を守る事も大切です。
4.健康食品の種類について
健康食品には、国が制度を創設して機能表示等を許可している「保健機能食品」と機能表示が認められていない「その他の健康食品」と大きく分けて2種類あります。さらに「保健機能食品」については、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3種類に分けられています。
5.自分で判断できるようになるために
今の時代はたくさんの情報が溢れかえっているのに、本当に必要な情報がちゃんと手に入るのかはわかりません。どれが本当で、何が最新で、自分に必要な情報とは何なのかをご自身できちんと把握した上で情報と向き合えたなら、溢れかえる情報に振り回されずに済むかもしれません。以下に専門のホームページのリンクを貼っています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
厚生労働省いわゆる「健康食品」のホームページ|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/index.html
国立研究開発法人 医薬基盤・健康栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報
※こちらの記事に関するお問い合わせはこちらまで|tel.086-420-1500 (広報CSR部 河﨑)